ピラティスの胸式呼吸を家で練習する方法

ピラティスに興味はあるけれど、
「スタジオに通うほどではない」
「まずは家でやってみたい」
そう思ったことはありませんか。

実際、胸式呼吸をやってみたけれど、
肩が疲れたり、うまく息が入らなかったりして、
「これで合っているのかな?」と感じたまま、
いつの間にかやめてしまった——
そんな声をよく聞きます。

実はそれ、あなたの感覚はとても自然です。
ピラティスの胸式呼吸は、思っている以上に身体の癖が影響します。
私自身、インストラクターとして学びながらも、
この呼吸をしっかり身につけるまでに、少し時間がかかりました。
原因のひとつは、自分が気づいていなかった姿勢の癖でした。

この記事では、
・なぜ胸式呼吸がうまくいかないのか
・家でひとりでも取り組める、無理のない練習方法
・「できない」と感じたときに見直してほしい視点
を、インストラクターとして、そして一人の実践者としてお伝えします。

胸式呼吸は、正しくやろうと頑張るものではなく、
少しずつ「気づいていく」もの。
その入り口として、家での静かな練習が、
あなたとピラティスをつなぐ一歩になれば嬉しいです。

▶このサイトがなぜ呼吸と姿勢を大切に考えているかを書いています

目次

ピラティスに興味はあるのに、続かない人が多い理由

家でやってみたけれど、よく分からなかった

ピラティスに興味を持つ人はとても多い一方で、
「続いている人」はそれほど多くない印象があります。

その理由のひとつが、
家で試したときに、感覚がつかめなかったという体験です。

動画を見て真似をしても、
・これで合っているのか分からない
・呼吸が苦しい
・なんだか肩や首が疲れる
そんな違和感を抱えたまま、やめてしまう方が多いのです。

動きより先に、呼吸でつまずいている

ピラティスでは「呼吸が大切」とよく言われますが、
実はその呼吸そのものが難しいのが胸式呼吸です。

動きができないというより、呼吸と動きの連動が分からない。
呼吸が身体に入っていないまま動こうとしている。
その状態では、ピラティスの本来の動きができません。

それはあなたの努力不足ではない

ここでお伝えしたいのは、
できなかったのは、あなたのせいではないということです。

長年の姿勢や生活習慣でつくられた身体の癖は、
一度や二度で変わるものではありません。
胸式呼吸が難しく感じるのは、むしろ自然な反応なのです。

▶身体の癖について説明しています。


胸式呼吸とは「胸を大きく膨らませること」ではない

よくある胸式呼吸の勘違い

胸式呼吸と聞くと、
「胸を大きく膨らませて吸う」
そんなイメージを持つ方が多いかもしれません。

ですが、それを意識しすぎると、
肩がすくみ、首や肩周りに力が入りやすくなります。

肩が上がる呼吸と、胸郭が広がる呼吸の違い

ピラティスで大切にしている胸式呼吸は、
肩を動かす呼吸ではありません。

意識したいのは、
肋骨(胸郭)が、横や後ろにやさしく広がる感覚です。

肩はできるだけ静かに、
胸郭だけが風船のようにふくらむイメージ。
これが胸式呼吸の土台になります。

▶どうしても肩が動いてしまう人はこちらの記事もおすすめです。

ピラティスで胸式呼吸が大切にされる理由

胸郭が動く呼吸が入ると、
・体幹が安定しやすくなる
・余計な力みが抜けやすくなる
・動きと呼吸がつながる

ピラティスが「きつい」から「心地よい」へ変わる、
大きな分かれ道が、ここにあります。


私が胸式呼吸を習得するのに時間がかかった理由

前肩という姿勢の癖

私自身、胸式呼吸がうまくできなかった大きな理由は、
前肩の姿勢でした。
でも、本人は全くその自覚がありませんでした。

肩が前に入り、胸が内側に閉じた状態では、
肋骨はほとんど動けません。
その状態で「胸で呼吸しよう」とすると、
肩や首ばかりが頑張ってしまいます。

変な力ばかりが入ってしまい、
いくらやっても、心地よい呼吸にはなりませんでした。

胸式呼吸がうまくいかなかった背景には、姿勢の影響も大きく関係していました。
▶前肩や胸の閉じやすさと呼吸の関係については、
姿勢と胸式呼吸の関係を解説したこちらの記事で、もう少し詳しくお話ししています。

胸郭が動いていなかったことに気づいた

当時の私は、
「呼吸が浅い」「うまく吸えない」と感じながら、
その原因が姿勢にあるとは思っていませんでした。
だって、自分は良い姿勢でいると思い込んでいたから。

姿勢を整え、肩甲骨を少し寄せて、肋骨の後ろに息を入れる、
胸郭が動ける余白をつくってあげたとき、
初めて呼吸が自然に入ってくる感覚を味わいました。

そして、出来た!と感じた時、背中が少しミシミシ動く感じも味わいました。

「吸おう」とするほど、呼吸が入らなくなっていた

呼吸が苦しいと、つい
「もっと吸おう」
「ちゃんとやらなきゃ」
と頑張ってしまいます。

でも胸式呼吸は、
頑張るほど、入らなくなる呼吸でもありました。

以前テニスをしていた時に、息が上がって苦しくなった時、
コーチが、息を吐けと怒鳴りました。
そう、息を吐き切らないと吸えないんだという経験でした。

▶呼吸についてはこの記事でも説明しています。


家で始める前に|胸式呼吸のための準備

まずは今の姿勢をチェックしてみる

まず、椅子に楽に座った状態で、
肩が耳に近づいていないか
胸が内側に閉じすぎていないか
そっと観察してみてください。

よくわからなければ、手の甲を前に向けた状態と、手のひらを前に向けた状態
自分の普段楽な姿勢がどちらに近いかやってみてください。
手のひらを前に向けた時に、少し大変だと思ったら、肩は前に来ている証拠です。

前肩だと気づいても、無理に「正そう」としなくて良いです。
今の状態を知ることが最初の一歩です

肩・首・胸に入っている無意識の力を抜く

肩をすくめてストンと落とす、
首を小さく回す、

それだけでも、
呼吸の入り方は少し変わります。

「吸う」前に「吐く」を意識する

胸式呼吸が難しいと感じる人ほど、
まずは吐くことを意識してみてください。

細く、長く、静かに吐く。
吐き切ったあとに、自然に入ってくる息を待ちます。

家でできる|胸式呼吸の基本練習ステップ

呼吸を感じやすい姿勢の選び方

最初は、
椅子に座ってやってみるのが良いでしょう。
自分の身体の癖が分かりやすいです。

寄りかからずにまっすぐ座り、姿勢を正します。

手を当てる位置と意識の向け方

両手を肋骨の横に置く、または背中側に添えます。
または、スカーフのような長い布を、背中から前に持ってきて胸の前で結び、
両端を持って息を感じてみる方法もあります。
吸う息で、手やスカーフがそっと外に押し返される感覚を探します。

胸式呼吸をしている女性の画像

呼吸のリズムと回数の目安

吸う:4〜6秒 鼻から背中に空気を送り込むイメージで。
吐く:8〜10秒 口からゆっくり時間をかけて吐きます。お腹の筋肉がグーっと縮んでいくのを感じて。
これを10呼吸ほど同じ速さで繰り返します。

時間があるときを見つけて練習してみましょう

この呼吸の仕方を、
音声でガイドしたものを下に置いています。

目を閉じて、
音声とともに呼吸を感じてみたいときに
使ってみてください。

ここでおこなった呼吸や他の動きなどを、
目を閉じてたどるための音声も用意しています。
必要なときに使える場所として、
LINEにまとめています。

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うまくできないときに確認してほしいポイント

肩や首が頑張りすぎていないか

呼吸と一緒に肩が動いていたら、力が入っている証拠です。
少し肩甲骨を寄せて下げる意識も持ってみましょう。
背中を反りすぎず、肋骨を前に突き出さない程度です。

力の抜き加減も回数に従ってわかってくるので、
一度に頑張りすぎないようにしましょう。

呼吸を「コントロール」しようとしすぎていないか

呼吸は、整えるものではなく
邪魔をしないもの
その視点を思い出してください。

その日の身体の状態を無視していないか

疲れている日、緊張が強い日、
同じようにできなくて当たり前です。
無理に続けても身体は反応してくれません。


胸式呼吸は「すぐできるもの」ではなく「育てるもの」

身体の癖は、長い時間をかけて作られている

だから、呼吸も時間をかけて変わります。
何度も練習しているうちに、自分の呼吸の癖に気づき、対応の仕方も少しずつ分かってきます。

気づけた時点で、呼吸はもう始まっている

「できない」と感じられたこと自体が、
すでに大切な変化です。

出来ているのか、できていないのかさえわからない手探りの日々も、
続けることで気づきが生まれます。

ほんの少しの隙間時間で少しずつやってみるが大切です。

できない日があっても大丈夫という考え方

胸式呼吸は練習。
急いで上手にやろうとしなくて大丈夫です。

身体は本来の動きを少しずつ取り戻していきます。


まとめ|家での胸式呼吸は、ピラティスへの入口になる

呼吸が変わると、身体の感じ方も変わる

動きが楽になり、
ピラティスが「続けられるもの」に変わります。

背中が楽になり、動くべき筋肉が動き、体幹を引き締めます。
胸式呼吸の練習だけでも、お腹は少し引き締まるはずです。

▶胸式呼吸が少しずつ分かってきたら、
呼吸を感じながら行うピラティスの基本の記事で、
家でできるシンプルな体幹エクササイズを紹介しています。

Inner Awaking が伝えたい「内側から気づく」ということ

胸式呼吸は、
身体の内側にそっと耳を澄ます時間。

家での静かな練習が、
あなた自身のリズムに気づくきっかけになりますように。

呼吸について整理している記事です。

プロフィール

自画像イラスト

櫻井 凛
ピラティスインストラクター

寝たきりから再起。呼吸と身体を再構築する伴走者として

65歳でギラン・バレー症候群を発症し、一時は寝たきりに。しかし、長年培ったピラティスと神経系の知見を自らに注ぎ込み、再び装具をつけて少し歩けるまで回復しました。

現在は「3年後に独歩」を目標に自ら身体を再構築しながら、40代からのしなやかな心身を作るために、呼吸を通して身体と会話しながら整える方法を発信しています。

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