呼吸と姿勢に触れたら、具合が悪くなった?― それでも身体は、休みに向かっていた話

呼吸や姿勢に触れたあと、
「なんだか具合が悪くなった」
「これ、やるんじゃなかったのかもしれない」
そんなふうに感じたことはありませんか。

先日、喘息とリウマチを抱える妹が家に来たとき、
呼吸の話をしながら、身体の固まり具合を一緒に確認しました。
逃走の姿勢が強く、胸や背中はかなり硬くなっている状態でした。

短時間だけストレッチポールに乗ってみたところ、
数分で気持ち悪さが出てきたため、すぐに中止しました。
そして横になると、妹はそのまま眠ってしまいました。

「具合が悪くなった」
「寝てしまった」
この出来事だけを見ると、
失敗だったように感じるかもしれません。
でも、このとき身体の内側では、
まったく別のことが起きていたように思います。

この記事では、
「整えたあとに不調のような反応が出る」
そんなとき、身体の中で何が起きているのかを、
一つの体験として静かに整理してみたいと思います。

正解を示すためではありません。
こんな反応が出ることもある
そう知ってもらうための話です。

目次

「具合が悪くなった」は、本当に悪い反応だったのか

呼吸や姿勢に触れたあと、
気持ち悪さや違和感が出ると、多くの人は不安になります。

「やり方が間違っていたのかもしれない」
「やるんじゃなかった」
「身体に合わなかったのでは」

そう感じるのは、とても自然なことです。

私たちはつい、
気持ちいい=成功、気持ち悪い=失敗
という基準で、身体の反応を判断してしまいます。

けれど、身体の反応は
快・不快だけで測れるものではありません。

一見「悪くなったように見える反応」が、
実は切り替えの途中に起きるものであることもあります。

逃走の姿勢で固まっていた身体に、何が起きていたのか

呼吸の話をしながら身体の様子を確認すると、
胸や背中はかなり硬く、呼吸のたびに肩が上がっていました。

また、不安からか、
スクワットや筋トレをしていたようです。

外から見ると、
固くなった身体にさらに力を重ねているようにも感じられました。
自分の身体の癖を感じる余裕が、
あまり残っていなかったのかもしれません。

いつも動く筋肉ばかりが働き、
使われていない部分は、ますます置き去りになる。
そんな状態が続いていたように見えました。

さらに、職場が新しくなり、
緊張の多い日々が続いていたことも影響していたのでしょう。

これは単に「筋肉が硬い」というより、
逃走の姿勢が長く続いていた身体に近い印象でした。

逃走の姿勢では、

  • 胸が固まり
  • 背中が張り
  • 呼吸は浅く速くなりやすい

身体は常に「まだ安全じゃない」という前提で働きます。

止まれない。
休めない。
緊張が抜ける余地がない。

そんな状態が、長く続いていたのかもしれません。

ストレッチポールが身体に与えた、予想外に大きな合図

少しだけ呼吸をそばでサポートしたあと、
短時間だけストレッチポールに乗ってもらいました。
背中を預け、身体を支えてもらうような姿勢です。

胸を広げたかった、という理由もありました。

数分もしないうちに、
妹は汗をかき始め、「ちょっと気持ち悪い」と言いました。

リハビリをしていた頃、
動いていなかった筋肉がわずかに動き出すと、
汗をかくことがよくあったのを思い出しました。

とはいえ、
ここで続ける理由はありません。
ストレッチポールはすぐに中止しました。

ストレッチポールは、
背骨が広がり、胸が開き、
身体にとっては「安全」を知らせる姿勢になります。

逃走の形で固まっていた身体にとって、
その合図は、思っていた以上に大きかったのかもしれません。

「整えよう」としなくても、
身体は反応してしまうことがあります。

なぜ、気持ち悪さのあとに眠りが出たのか

ストレッチポールを降り、ソファに横になると、
妹はすぐに寝息を立てて眠ってしまいました。

ここが、とても印象的でした。

気持ち悪さが強ければ、
簡単には眠れないはずです。
眠れたという事実は、
身体が安心できる状態に向かっていたことを
静かに示しているようにも感じられました。

気持ち悪くなったあとに、眠る。
この流れは、一見すると不安に見えます。

でも、身体の反応として見ると、
別の読み取り方もできます。

気持ち悪さは、
切り替えの途中で出ることがあります。

そして眠りは、
身体が「今なら止まっていい」「休んでいい」と
判断できたときに出やすい反応です。

つまり、

  • 気持ち悪さ=ブレーキが入り始めたサイン
  • 眠り=ブレーキがちゃんとかかった結果

だった可能性があります。

こうした反応が出たとき、大切にしたいこと

もし、呼吸や姿勢に触れたあとに
不快な反応が出たときは、

何かを「直そう」としなくて大丈夫です。

大切なのは、

  • 続けない
  • 無理に変えようとしない
  • 良い・悪いで評価しない
  • 休ませる

身体が反応を出したとき、
それ以上の刺激を足さないこと。

眠れるなら、眠らせること。
それだけで十分なこともあります。

整える前に、身体はまず「止まろうとする」

身体は、
いきなり軽くなったり、楽になったりするとは限りません。

まず、止まる。
力を抜く。
動かない時間に入る。

そんな順番をたどることがあります。

それは失敗ではありません。
後退でもありません。

むしろ、
長く頑張ってきた身体ほど、
最初に「止まる反応」が出やすい

そんなふうにも感じています。

まとめ:こんな反応が出ることもある

今回の話は、
すべての人に当てはまるものではありません。

でも、

  • 呼吸や姿勢に触れたあと
  • 一時的に具合が悪くなったように感じたり
  • 眠くなったり

そんな反応が出ることも、確かにあります。

そのとき、
「やるんじゃなかった」と急いで結論を出さなくていい。

身体は、
気持ちよくなる前に、
まず止まろうとすることがある。

今日は、
そんな一例として、
この体験を残しておこうと思います。

この体験をもう少し違う角度から整理した記事もあります。
気になるところから、読んでみてください。

プロフィール

自画像イラスト

櫻井 凛
ピラティスインストラクター

寝たきりから再起。呼吸と身体を再構築する伴走者として

65歳でギラン・バレー症候群を発症し、一時は寝たきりに。しかし、長年培ったピラティスと神経系の知見を自らに注ぎ込み、再び装具をつけて少し歩けるまで回復しました。

現在は「3年後に独歩」を目標に自ら身体を再構築しながら、40代からのしなやかな心身を作るために、呼吸を通して身体と会話しながら整える方法を発信しています。

目次