泣きそうになるときの対処法― 頑張り屋さんが、呼吸で自分を収めるために

人前で、涙が出そうになるとき。
喉の奥がキュッとなる感覚」や「視界がじわっと熱くなる感覚」

仕事中や会話の途中で、
「ここで泣いたら困る」と思う瞬間は、意外とあります。

そんなとき、必死に感情をこらえようとする人も多いでしょう。

実は私も、昔はいわゆる「泣き虫」でした。
感情が揺れやすく、すぐ涙が出てしまう。

そんな自分が、正直あまり好きではありませんでした。

弱いと思われたくなくて、
泣かないように、感情を出さないように、
ずっと頑張ってきたのだと思います。

今振り返ると、
泣くという感情を、少し否定していたのかもしれません。

もちろん、感情を表すことは、
身体にとっても大切なことだと思っています。

でも、長い時間をかけて身についた癖は、
「泣こう」と思っても簡単には戻りません。

だから今は、
泣いてもいいし、泣かなくてもいい。

もし泣かなくても、
身体が安心に戻れる方法があるなら、
それも、ひとつの癒しの形なのではないか。私はそう感じています。

今日は、
泣きそうになるときに呼吸を戻す方法を、
身体の視点から紹介します。

目次

泣きそうになるとき、呼吸はどうなっている?

泣きそうになるとき、
私たちは「感情があふれそう」と感じます。

けれど身体の中では、
感情よりも先に 呼吸の変化 が起きています。

例えば、

  • 息が浅くなる
  • 吸ったまま止まる
  • 胸の奥が詰まる

こんな感覚です。

これは感情が弱いからではありません。

自律神経が緊張し、
身体が崩れないように 踏ん張っている状態です。

呼吸を止めることで、
感情が外に出ないように支えている。
とても健気な身体の反応なのです。

頑張り屋さんほど呼吸を止めてしまう理由

頑張り屋さんほど、
感情が出る前に身体で踏ん張ります。

迷惑をかけないように
場を乱さないように
自分で何とかしようとして

その結果、無意識のうちに

呼吸を小さくする
呼吸を浅くする
呼吸を止める

という癖が身についていきます。

これは性格の問題ではなく、
長い時間をかけて身についた 呼吸の使い方です。

だから

「泣こう」
「気持ちを出そう」

と思っても、
呼吸が通らなければ、涙は簡単には出ません。

泣くことは「吐く呼吸」

泣くときの呼吸は、

短く吸い
長く吐く

というリズムになります。

この 長く吐く呼吸 は、
副交感神経を働かせる呼吸です。

つまり涙は、身体が安心に戻ろうとする
自然な回復反応でもあります。

だから泣くことは、
弱さではありません。

身体が呼吸を通して
自分を整えようとしているのです。

人が泣きそうになるとき、身体では
「長く息を吐こうとする反応」が起きています。

泣いてもいい。でも今日は呼吸を戻したいときに

泣くことは自然な回復反応です。

でも、

人前では泣けない
仕事中で難しい
もう癖で涙が出ない

そんなときもあります。

その場合に必要なのは、無理に泣くことではなく
止まっている呼吸を、もう一度通してあげること

ここからは、
泣かなくても呼吸が戻る
身体からのやさしい方法を紹介します。

泣きそうになるときの対処法|呼吸を戻すセルフケア

神経が思い出す「呼吸の戻り道」

呼吸は、
意識してコントロールしなくても

安全を感じる
支えが分散することで、自然に戻ります。
私はこれを
神経が呼吸の戻り道を思い出すと表現しています。

頑張って深呼吸をしなくていい。
正しくやろうとしなくていい。

呼吸が通る場所を
身体に用意する。

それだけで十分です。

胸が苦しいとき|腕に触れて、吐く

胸が苦しいとき、
呼吸は胸の中で止まっています。

・片腕を反対の手でなでる
・吐く息に合わせてゆっくり
・吸うことは考えない

これは、
胸で止まった呼吸を
腕のほうへ分けるケアです。

泣きそうなとき|肩・二の腕を包む

・肩から二の腕を手で包む
・ひとつ吐いて、そのまま待つ

吐いたあとに少し待つことで、
呼吸は自然に入り直します。

お手洗いで鏡を見るついでに二の腕を包んでみてください

泣かなくても、
呼吸はちゃんと戻る方向へ動きます。

ざわざわするとき|太ももに手を置く

感情が強いとき、
呼吸も一緒に上に集まります。

・両手を太ももに置く
・重さが下に落ちるのを感じる

これは
呼吸が下に戻る場所をつくるケアです。
そして、デスクの下でこっそりとできる方法です。

何もしたくないとき|預ける

・クッションやタオルに身体を預ける
・呼吸は見ない

呼吸を整えようとしなくていい。

預けられた瞬間から、
呼吸は変わり始めています。

うまくやらなくていい

この方法は

できなくてもいい
効果を感じなくてもいい

大切なのは、呼吸を止め続けないこと

ほんの少しでも通れば、
身体は回復に向かいます。

呼吸は、感情を無理に消すためのものではありません。

ただ、身体がもう一度落ち着く場所へ戻るための、
静かな道のようなものです。

まとめ|泣く代わりに、呼吸を戻すという選択

泣くことは弱さではありません。
泣かないことも冷たさではありません。

頑張り屋さんは、

泣く代わりに
呼吸で自分を支えてきました。

これからは、

支えるだけでなく
呼吸を戻すという選択があってもいい。

泣いてもいい。
泣かなくてもいい。

なぜなら、呼吸が通っている限り、
人はちゃんと安心に戻れます。

呼吸をもう少し深く知りたい方へ

呼吸は、
感情だけでなく

  • 思考
  • 姿勢
  • 自律神経

とも深く関係しています。

Inner Awakingでは、
呼吸を身体の中心として整える方法を
いくつかの記事で紹介しています。

感情と身体のシリーズ

感情は、心だけで起きているわけではありません。
呼吸・姿勢・自律神経など、身体の状態と深く関係しています。

このテーマをもう少し知りたい方はこちら

・感情は身体のどこで感じている?

人はなぜ泣くのか

安心とは何か?

身体が安心したときに現れるサイン

感情をコントロールしなくていい理由

プロフィール

自画像イラスト

櫻井 凛
ピラティスインストラクター

寝たきりから再起。呼吸と身体を再構築する伴走者として

65歳でギラン・バレー症候群を発症し、一時は寝たきりに。しかし、長年培ったピラティスと神経系の知見を自らに注ぎ込み、再び装具をつけて少し歩けるまで回復しました。

現在は「3年後に独歩」を目標に自ら身体を再構築しながら、40代からのしなやかな心身を作るために、呼吸を通して身体と会話しながら整える方法を発信しています。

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