低気圧で体がだるい日に|装具で歩く私が見つけた呼吸のスイッチ

目次

その「だるさ」は、身体のスイッチがさび付いているサインかもしれません

低気圧の日。
体が鉛のように重く、やる気が起きない。

「歳のせいかな」
「自分が弱いだけかもしれない」

そんなふうに、自分を責めてしまうことはありませんか。

でも、その重だるさは
筋肉そのものが弱くなったわけではなく、

呼吸を動かす筋肉――
横隔膜や肋間筋に、脳からの信号が届きにくくなっている状態かもしれません。

いわば、身体のスイッチが
少しだけ「さび付いた」ような状態です。

呼吸の中心となる横隔膜の働きについては、
こちらの記事でも詳しく解説しています。

横隔膜はなぜ「内側の安定」を支えるのか


低気圧の日に体がだるくなる理由

低気圧の日に体が重く感じるのは、
気のせいではありません。

気圧が下がると、私たちの身体は
内耳や自律神経を通してその変化を感じ取ります。

すると身体は無意識に防御モードに入り、

  • 呼吸が浅くなる
  • 筋肉の緊張が変わる
  • 血流がゆっくりになる

といった変化が起こります。

つまり、身体のエンジンが
少しだけ低速モードになるのです。

このとき大きく影響を受けるのが
横隔膜や肋間筋といった呼吸筋です。

低気圧が身体に影響する仕組みは、
内耳や自律神経を通して脳へ伝わることが知られています。

その流れについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

低気圧が自律神経に影響する仕組み


その「だるさ」は呼吸筋のスイッチが鈍っているサイン

私たちの脳は、とても省エネな器官です。
長い時間、浅い呼吸が続くと、「ここはあまり使わない場所だ」と判断して、
筋肉への指令を弱めてしまうことがあります。

その結果、
身体の中にあるはずの呼吸のスイッチが
少しずつ見つけにくくなってしまうのです。

身体の「さび付き」チェック

次のような感覚はありませんか。

・「大きく吸って」と言われると、胸ではなく肩が上がってしまう
・深呼吸をしようとしても、どこか苦しくて吸い切れない
・夕方になると背中が板のように固まる
・姿勢を良くしても、数分で猫背に戻る

もし思い当たるものがあれば、
それは身体が弱いからではありません。

ただ、脳の中にある
身体の地図の一部が少しぼやけているだけ
なのかもしれません。

▶身体の地図、ボディマップについてはこちらの記事をどうぞ。


突然、私の身体から「地図」が消えた日

なぜ私がこれほど
身体の「スイッチ」の話をするのか。

それは、私自身が
身体の地図が真っ白になる経験をしたからです。

数年前、私は
ギラン・バレー症候群を発症しました。
脳から筋肉へ送られる指令が
物理的に遮断される病気です。

脳は「動け」と命じているのに、
身体が動かない。

どうやって腕を上げていたのか
どうやって呼吸していたのか。

その身体の記憶が
一瞬で失われてしまったのです。

私は今も、
装具をつけながら歩いています。

一度消えてしまった身体の地図を
もう一度書き直す作業は、
とても時間のかかるものです。

筋肉にスイッチが入る感覚を思い出し、
そこから少しずつ
身体を取り戻していく。

私は今も、その途中にいます。

迷子になった筋肉への「ノック」

そんな私の身体の再生体験と
ピラティスの理論が
ぴたりと重なった瞬間がありました。

それが
スニッフィング(sniffing)呼吸
という仕組みです。

鼻から「シュッ、シュッ、シュッ」と鋭く吸う呼吸。

この動きは
迷子になった呼吸筋に
明確なノックを送る呼吸です。

なぜ「鋭い呼吸」がスイッチになるのか

眠っていた筋肉を目覚めさせる

ゆったりした呼吸では反応しにくい
呼吸筋の強い線維が、
鋭い吸気というはっきりした刺激によって
活動を始めます。

脳の「身体の地図」を書き直す

筋肉には、
固有受容器というセンサーがあります。
鋭い呼吸はこのセンサーを刺激し、

「ここに筋肉がある」

という情報を
脳へ送り返します。

これにより、
脳と筋肉の通信回路が
もう一度つながり始めます。

内側から身体を支える

鋭く吸う呼吸は
肺をダイナミックに広げ、
胸郭や背中を内側から動かします。

そうすると、
外の気圧に押されるのではなく
身体の内側から
空間を広げる感覚が生まれます。

低気圧の日に試したい「小さな呼吸のノック」

もし今、体が重いと感じているなら
まずは小さな呼吸を試してみてください。

鼻から
「シュッ」と短く吸う呼吸です。

空気の匂いを
軽く確かめるように。

そのとき
胸や背中のどこかが
ほんの少し動く感覚があれば十分です。

それは、眠っていた呼吸筋に
小さなノックが届いたサインかもしれません。

この呼吸を
もう少し丁寧に試してみたい方は、
こちらの記事で詳しく紹介しています。


身体は、何度でも書き直せる

私は今も、
装具をつけて一歩ずつ
自分の身体の地図を塗り直しています。

だからこそ、こう思うのです。

身体が動かないとき、
それは弱さではありません。
ただ、
スイッチの場所を少し忘れているだけ。

身体は
あなたが気づいてくれるのを
ずっと待っています。

すぐに強くならなくても大丈夫です。

「シュッ」という
たった一呼吸から、

もう一度
自分の身体とつながり直してみませんか。

さらに深く整えたい方へ

この呼吸を取り入れた音声ガイド
「聴くピラティス|リブート編」を
LINEで配信しています。

▶耳から受け取る情報が身体に気づきやすいことを書いています。

波の音に身を任せながら、
私と一緒に
眠っていた呼吸のスイッチを
やさしく呼び覚ましてみませんか。

聴くピラティスは公式LINEから体験できます。
公式ラインはこちらから.

LINE友達追加のQRコード

プロフィール

自画像イラスト

櫻井 凛
ピラティスインストラクター

寝たきりから再起。呼吸と身体を再構築する伴走者として

65歳でギラン・バレー症候群を発症し、一時は寝たきりに。しかし、長年培ったピラティスと神経系の知見を自らに注ぎ込み、再び装具をつけて少し歩けるまで回復しました。

現在は「3年後に独歩」を目標に自ら身体を再構築しながら、40代からのしなやかな心身を作るために、呼吸を通して身体と会話しながら整える方法を発信しています。

目次