呼吸と体幹がつながる場所|横隔膜が支える“内側の安定”

ピラティスでは、動きを美しく見せるのは“表面の筋肉”ではありません。
姿勢を支え、呼吸を深くし、身体の中心から安定を生み出す、
インナーマッスル(深層筋) が主役になります。

このインナーマッスルは、普段の生活で意識されることが少なく、
気づかないうちに働きが弱くなったり、動きの癖によって使いにくくなったりします。

そこで大切になるのが 呼吸
呼吸筋をうまく使えるようになると、インナーユニットが連動し、
姿勢が自然と整い、動きが軽くなり呼吸も深くなります。

この記事では、
ピラティスで最も大切にされる 呼吸筋とインナーマッスル
やさしく、わかりやすく解説します。

▶ピラティスとはについて書いています。

目次

ピラティスで大切にする “呼吸筋” と”インナーユニット”とは?

呼吸は「空気を吸う・吐く」だけではなく、
身体の深部を支える筋肉たちが共同で働く「立派な運動」です。

呼吸筋の主な2つ、横隔膜と肋間筋について説明します。

呼吸筋

① 横隔膜(呼吸の中心)

横隔膜のイラスト
  • 息を吸うと下がる
  • 息を吐くと上がる
  • 胸郭の動きと連動する
  • 体幹の圧(腹圧)を作る中心筋

横隔膜がスムーズに動くと、呼吸が深くなり背骨の動きも改善します。

② 肋間筋(胸郭の動きを作る)

肋間筋のイラスト
  • 肋骨と肋骨の間にある筋肉
  • 胸式呼吸で働きやすい
  • 巻き肩や猫背で硬くなりやすい

肋間筋が働くと、ピラティス特有の
胸が広がる呼吸(胸式呼吸) がやさしく行えます。
胸が広がる呼吸とは、背中まで息が入り肋骨が360度広がる呼吸です。

背中の広がりが無いと、背中が硬くなっていきます。

背中を広げる呼吸は、最初は難しく感じますが、回数と共に体験できるようになります。

インナーユニット

先ほど説明した横隔膜もインナーユニットの一つです。そのほかに以下の3つがあります。

① 腹横筋(お腹の最深部)

インナーマッスルの代表で「天然のコルセット」と呼ばれます。

腹横筋のイラスト
  • お腹をへこませる動きで活性化
  • 姿勢の安定に必須
  • 腰痛予防に重要

ピラティスの「吐く呼吸」で働きやすい筋肉です。

この呼吸筋は、しっかり吐き切るとで体感できます。
お腹がくッと締まる感じです。

② 骨盤底筋(身体の底を支える)

骨盤底筋のイラスト
  • 骨盤の底にハンモック状についている
  • 横隔膜と連動して働く
  • 姿勢と呼吸の“下からの支え”

横隔膜が吸気で下がると、骨盤底筋はやさしく伸び、
呼気で上がると、骨盤底筋も引き上がります。

尿漏れを防ぐのもこの筋肉が役立ちます。

大切な筋肉ですが、少しわかりにくいです。お尻をぎゅっとすぼめるイメージです。すぐにできなくても大丈夫。

③多裂筋

背骨のすぐそばに沿うようについている、小さな筋肉です。
ひとつひとつの椎骨をつなぎながら、背骨全体を安定させる役割を持っています。

・背骨の細かな動きをコントロールする
・姿勢を“内側から”支える
・身体のブレを防ぐ

多裂筋は、強く動く筋肉ではありません。
どちらかというと、静かに働き続けることで安定をつくる筋肉です。

この筋肉は体幹の柱が安定します。腰とも連携しています。
背中が伸びるイメージが持てるようになると感じられます。

インナーユニットが働くと何が変わる?

  • 姿勢がまっすぐ保ちやすくなる
  • 腰が疲れにくくなる
  • 肩や首の力みが抜ける
  • ピラティスの動きが滑らか
  • 呼吸が浅くなりにくい
  • お腹がへこんでくる

▶特に、
「呼吸 × 体幹の安定」 が同時に手に入るのがピラティスの魅力です。


呼吸とインナーユニットは“どう連動する”のか?

ピラティスでは呼吸と動きが常にセット。
その理由は、インナーマッスルが以下のように連動して働くためです。

吸う → 横隔膜が下がる →肋骨が広がる→ 背骨が伸びる → 動きやすくなる

吸気は

  • 背骨を長くする
  • 肋骨が広がる
  • 動きの準備をする

ピラティスの「準備の呼吸」です。

吐く → 腹横筋が働く → 体幹が安定 → コントロール力が上がる

呼気は

  • お腹が引き締まる
  • 多裂筋が働き背骨が安定
  • 骨盤底筋が引き上がる

ピラティスの「動きを完成させる呼吸」です。

横隔膜は「呼吸」と「安定」を同時に生み出す

横隔膜は、胸とお腹の境目にドーム状についているので、
ひとつの動きが、ふたつの働きを同時に生み出します。
呼吸で横隔膜という筋肉が動くことで、内側に圧が生まれます。

この圧は、

・背骨を内側から支える
・内臓の位置を安定させる
・身体の中心に軸をつくる

という働きを持っています。つまり横隔膜は、 呼吸をしているだけで、
同時に体幹の安定をつくっている筋肉です。

呼吸と姿勢は別々のものではなく、
同じ場所(横隔膜)から生まれているのです。

ピラティス初心者でもできる “呼吸筋の目覚め” エクササイズ

① 横隔膜の呼吸を感じる練習

1.仰向けに寝る
2.手をみぞおちに添える
3.やさしく息を吸い、胸と肋骨の動きを感じる
4.息を吐くとき、お腹が奥に引き込まれる感覚を味わう

②肋間筋を目覚めさせる胸郭の広がり

  1. 椅子または立った姿勢で背すじを軽く伸ばす
  2. 息を吸いながら、両腕を横に広げる
  3. 胸だけでなく、背中や脇にも空気が広がるイメージ
  4. 息を吐きながら腕を戻す

肋骨を360度に広げる感覚を育てる練習です。

呼吸筋とインナーマッスルを整えると何が起きる?(効果まとめ)

  • 姿勢が自然に整う
  • 動きの癖が改善される
  • 呼吸が深くなる
  • 疲れにくくなる
  • 腰・首・肩が軽くなる

ピラティスの本質は、
「呼吸で身体を整え、また、身体が呼吸も整える」
という循環にあります。

さらに、身体・呼吸が整ってくると自律神経が優しく整っていきます。

▶また、呼吸は、
1日の中で役割を変えながら身体のリズムを支えています。
このリズムを意識して生活しても良いと思います。

まとめ

呼吸筋はインナーユニットと深くつながり、
この2つが目覚めることで、姿勢・動き・心の軽さまで変わっていきます。

ピラティスは、その土台をやさしく育てていく練習です。


姿勢や呼吸がうまくいかないのは、あなたの努力不足ではありません。
身体が安心して動ける条件が、まだ整っていないだけです。
まずは入口の記事から、呼吸と身体の土台を作り直してみてください。

プロフィール

自画像イラスト

櫻井 凛
ピラティスインストラクター

寝たきりから再起。呼吸と身体を再構築する伴走者として

65歳でギラン・バレー症候群を発症し、一時は寝たきりに。しかし、長年培ったピラティスと神経系の知見を自らに注ぎ込み、再び装具をつけて少し歩けるまで回復しました。

現在は「3年後に独歩」を目標に自ら身体を再構築しながら、40代からのしなやかな心身を作るために、呼吸を通して身体と会話しながら整える方法を発信しています。

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